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気負わず楽しむ、陶器絵付けの教室です。
2022-05-03

【豆知識】配色に役立つ本と、頑張りどころ・力の抜きどころの話

こんにちは、ホームポーセリンアート講師の山岡ルイです^^

陶器絵付けの工程は、デザインを考え、配色を決め(どんな色を、どんな組み合わせで使うか決めること)、陶器に絵付けして、修正して…と、多くの工程から成り立っています。すべての工程が好きで得意!という場合は問題ないけれど、「デザインを考えるのが苦手」「調色(好みの色を作ること)を失敗しがち」など、苦手意識がある工程も含まれているかと思います。

そういう私は「配色」が大の苦手で、センスを感じません。たくさんの絵の具を前に、どの色をどんな組み合わせで使えば素敵な仕上がりになるのか分からず頭を抱えてしまうことも多々…。

配色への苦手意識から、配色を楽にするためのコツをまとめたブログも書いてきました。

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配色センス向上を目指し、色彩検定を取得したり勉強したりと努力もしたのですが、もはや自分で素敵な配色を編み出すことを放棄している私は(笑)、

・経験上、「間違いない」と気づいた配色

・自然界からそのまま拝借した配色

の使用を心がけています。すべての工程のレベルが一定以上であることを自分に課していた時期もあるのですが、配色に関してはどこまで行っても平凡以下の域を出ないことに気づいてしまったのです(^^;)

私ほど配色に苦手意識がなくても、いつも決まったパターンの配色ばかりで自分が飽きてしまったという方もいらっしゃるのでは?最近、配色についてとても参考になる本を見つけたので、そちらを紹介しつつ、絵付けの頑張りどころと力の抜きどころについてもお話しできたらと思います(^^)

ハイセンスな配色の宝庫!『配色スタイルハンドブック』

配色に苦手意識を持つ私が最近書店で見つけた本がこちら。

『配色スタイルハンドブック』ローレン・ウェイジャー著(BNN新社)

配色のプロが選び抜いたハイセンスな配色が900パターンも掲載されています!私には逆立ちしたってできない芸当です(笑)

『配色スタイルハンドブック』ローレン・ウェイジャー著(BNN新社)

こちらの本の素晴らしいところは、

・配色がイメージ別に分類されている(ナチュラル、レトロなど)

・配色の比率が示されている

という2点です。こちらの本を絵付けにどう活かしたのか、順に説明していきたいと思います。

①真似したい配色を見つける

まずは、本をパラパラめくり、真似してみたい・再現したい配色を探します。この時のポイントとしては、

・慣れないうちは、使用色を3〜4色に絞る(たくさんの色を使うと混乱する)

・自分が好きな配色、選びがちな配色とは違うものにもチャレンジしてみる

の2点です。2点目について補足しますが、自分がいつも選びがちな色ってありますよね?絵付けに限らず、洋服のコーディネートや小物類の色など、自分が好き・自分に似合うと分かっている色を無意識に選んで「同じ色ばかり集まる!」現象です(笑)せっかくたくさんの配色パターンがあるのですから、たまには安全圏から飛び出して、普段なら選ばない色使いを楽しんでみてください(^^)「自分らしい」「自分っぽい」配色以外はむず痒く感じるかもしれませんが、意外な発見があって楽しいですよ!

今回、こちらの配色が気になったので再現してみることにしました。

『配色スタイルハンドブック』ローレン・ウェイジャー著(BNN新社)P.185より

私の好きなレトロテイストではありますが、少し甘めなイメージなので、普段であればあまり選ばない配色です。私にとっては少し勇気のいる配色ですが、好きなイメージ(レトロ)の範囲に入っているので、挑戦することにしました(^^)

こういった感じで、好きなジャンルの中から冒険的な配色を選ぶ(or普段は選ばないジャンルの中から、自分が落ち着く配色を選ぶ)ことができるのも、この参考書の魅力です。

ちなみに、この配色を再現して絵付けした作品がこちら。

葉に2色、実に2色、計4色を使っています。

本に倣って、メインカラーとアクセントカラーの計4色を使いました。うち3色は調色(2色以上の絵の具を混ぜて色を作ること)しています。

②調色して色を再現する

真似てみたい配色を決めたら、次は同じような色を作る作業です。手持ちの絵の具に似た色があればそのまま使用できますが、なければイチから作るしかありません。

配色は頑張らないと決めている私ですが、調色は頑張りどころ。

本を見ながら、同じ色を再現できるように絵の具を混色していきます。絵の具の配合比率が少しでも変わると、全く違う色になったりするので、根気強く実験していきます。

再現した絵の具は、次に同じ色が使いたいときにすぐ作れるよう、調色に使用した絵の具の番号を簡単にメモしています。

自分用のメモなので、汚い写真で申し訳ありません(^^;)

真似したい色を見て、「何色と何色を混ぜれば作れそうだ」と直感的に分かる場合は問題ありませんが、パッと思いつかなければネットで調べるのが手っ取り早いですよ(例えば「黄土色 作り方」など)。何回か調色していると、段々とコツが掴めてきます。

③配色比率を意識して絵付けする

理想的な色が出来上がったら本番の絵付けに移ります。今回ご紹介した本の良いところは「配色の比率が示されている」ことです。

『配色スタイルハンドブック』ローレン・ウェイジャー著(BNN新社)P.187より

比率の大きな色は、メインカラーとして広い面積に使用し、比率の小さな色はアクセントカラーとして狭い面積に使用すると、バランスよく仕上がります。

配色は「何色を使うのか」ということに加え、「どのくらいの面積に使うのか」というのも大切なポイント。各色の最適バランスを感覚的に見極められる自信がない場合(つまり、いつもの私・笑)、配色見本に示されたバランスをそのまま応用するのが無難です。

何色が◯%、何色が◯%、と厳密に塗り分ける必要はありません(^^)見本の円グラフに沿う形で、多めに使う色と控えめに使う色を塗り分けていきます。

こうしてひとつの作品が完成しました。真似たい配色を探して、色を再現して…と、一見、遠回りに感じるかもしれませんが、配色に悩む時間を考慮すれば結果的に時間の節約になります。何より「間違いない配色」という安心感があるので、エネルギーを消耗しません(^^)あくまで配色に苦手意識がある私の手法ですが、お役に立てると嬉しいです。

まとめ

陶器の絵付けには様々な工程が含まれていて、その全てを自分の力だけで賄う必要はありません。

デザインが苦手だからといって、人のデザインを盗用してオリジナルと言い張る、なんていうのはNGですが!

苦手で仕方がないのに自力でどうにかしようと悩んでいると、絵付けそのものが楽しめなくなってしまいます(;;)私の場合は「配色=力の抜きどころ」として、センスのよい人(本)に頼ることにしました。そのかわり、「デザインや調色=頑張りどころ」として、納得いくまで試行錯誤することにしています(^^)

私のように配色に苦手意識がある方は、ぜひ「配色」で検索してみてください。参考になる資料や本が結構出てきますし、自分の感性にピンとくるものがあれば、一冊手元に置いておいてもいいかもしれませんね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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