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気負わず楽しむ、陶器絵付けの教室です。
2022-06-22

【絵付けテクニック】pebeoポーセレン150/濃淡・グラデーションの表現は“段階”が大切!

「普段使いの陶器絵付け・スタジオアートピース」の山岡ルイです(^^)

pebeoポーセレン150を使った陶器絵付けに役立つ情報をお伝えしています。

昨日のブログでは、色の濃淡(グラデーション)を表現した作品を紹介しました。

絵の具の濃さを調節して、奥行きや立体感を表現する方法は、馴染み深い水彩絵の具の技法と似ていますよね(^^)今日のブログでは、pebeoポーセレン150を使用して色の濃淡を表現する方法について解説したいと思います。

色の濃淡・明暗は、段階を踏んで描く

濃淡のはっきりした絵を描く時の手順として最初にお伝えしておきたいのが「絵を段階に分け、一段階ずつ絵の具の濃さを上げて描く」ということです。今回紹介した葉っぱのデザインも、全部で4つの段階に分けて、まさに段階的に完成させています。じれったいくらいゆっくり(笑)調節しながら絵付けするのがコツですよ!

1枚1枚の葉っぱをひとつずつ完成させていくのではなく、

第1段階(ベースとなる薄い色で全体を描く)→最終段階(一番濃い色で絵全体を引き締める)

という手順を踏んでいるわけです(^^)例えばメイクをする時に、右目の周りだけファンデーションを塗ってアイシャドウとマスカラを塗って、その次に左目に取り掛かる…ということはしませんよね。顔全体にファンデーションを塗って、全体のバランスを見ながら、目元、口元…とメイクを完成させるはずです。絵付けも、部分的に完成させながら進めるのではなく、絵全体を同じペースで段々と仕上げていく方が、濃淡のバランスを上手くとることができるのです。

ちなみに、段階の数に制限はありません。自分が納得いくだけ段階数を多くして、絵を完成させます。それぞれの段階に役割があるので、ひとつずつ解説していこうと思います。

第1段階:薄い色で絵全体のベースを決める

まず第1段階の役割は、絵全体のベース、輪郭を決めることです。

第1段階では、使用する色の中で一番薄い色を使い、絵全体を着色していきますが、この時の色が絵全体の濃さを決めます。基本的に、第1段階で塗る色が絵の中で一番薄い色になるので、この段階の色が濃ければ完成する絵は濃いめの絵になるし、逆にごく薄い色をベースにすれば、最終的に完成する絵も淡く仕上がる、ということです(^^)

絵付けは、色を薄くより濃くする方が簡単です。そのため、第1段階では「ちょっと薄すぎるかな?」と思うくらいに抑えておく方が、のちのち調整がしやすくなりますよ!

第2段階:第1段階より濃いめの色を加えていく

第2段階では、先ほど第1段階で使った色より、絵の具を少し濃いめにします。

今回は葉っぱを描いているので、葉脈や葉っぱが重なっている部分、影ができる部分などを描き足していきます。ちなみに、第2段階で使用している絵の具は、第1段階の絵の具と同じ色です。筆にとる絵の具の量を多くすることで、同じ色でも濃淡に差が出ていますよね。

このように段階を踏んで色を濃くしていくわけですが、前段階よりも、その次の段階は線が細く、幅は狭く絵付けすることになります。第1段階の役割のひとつに「輪郭を決める」と書きましたが、絵全体のボリュームは第1段階で絵付けした範囲になります。第2段階の線は第1段階で描いた輪郭より内側に、線のタッチは第1段階より細めに入れていきましょう(^^)

第3段階:より濃い線で立体感を出す

第3段階では、第2段階よりさらに濃いめの絵の具(第2段階までで使った緑と同じものを使い、濃さだけ変えていきます)を使い、立体感や奥行きを意識して絵付けします。

細かい葉脈や影を描き入れていきます。前段階までは全体的にぼんやりしていた絵も、ここまで描き込むと完成形が分かってきますよね。段階を経るごとに、より濃淡の差を出して、立体感や奥行きを出していきましょう。

より濃い色を入れていくのですが、前段階までの色とかけ離れた濃さにしてしまうと、濃淡の差が出過ぎて違和感のある仕上がりになってしまいます。「第1段階の色みが絵全体のベースになります」と書いたのはそういう理由からで、各段階が緩やかなグラデーションで繋がることで、絵として違和感のない、自然な仕上がりになるんです(^^)

最終段階(今回は第4段階):全体を引き締める

そして最後となる第4段階です。

※段階数に制限はないので、自分が「ここでおしまい」というところまで段階数を増やしてくださいね!

最も濃い色を使い、絵の中で一番濃くなる部分を描きます。茎の影、葉脈の脇、葉っぱのくぼみなど、影が一番濃く出る部分を重点的に描きました。ちなみに、最終段階だけ第1〜第3段階とは違う濃い緑の絵の具を使用しています。ここまでで満足のいく濃さに仕上がったので、絵付け終了にしました♪

好みによって輪郭線を入れるのもいいですよ(今回はふんわりした仕上がりにしたかったので、輪郭線は入れていません)。濃い色を使う時は、なるべく線を細くするため、筆の角度を変えたり、細い筆に変えたりしてください。もし輪郭線を入れるなら、手持ちの筆の中で一番細い筆を使うと、きれいに描けると思います(^^)

pebeoポーセレン150は、1色だけでも濃淡の差を作れる!

今回使用した絵の具は次の2色です。

26マラサイトグリーン、28ブロンズグリーン

左の絵の具だけで第1〜第3段階までを塗り分けています。pebeoポーセレン150は、筆にとる絵の具の量で、かなり微妙な濃淡の差を出すことができます。持っている絵の具の種類が少なくても、グラデーションを表現するのは十分可能なんです(^^)

※ちなみに、絵の具を薄くしたい時は「絵の具の量を少なくする」か「専用の薄め液(ディリューアント)」を使用してください。水で薄めると絵の具の定着率が落ちます!

今回は緑系の絵の具を使用しましたが、同系色で組み合わせれば、同じように濃淡を利用した塗り分けができますよ。

スペインタイルの技法も同じです!

余談ですが、私が専門的に学んだスペインの絵付け技法も、同じように段階式で仕上げていくタイプのものです。

スペインタイルの水彩技法で作った「メニューボード」がテーマの作品です。

こちらの作品も、淡い色から最後の輪郭線まで、いくつもの段階を経て完成しています。

使用色が増え、絵柄も複雑なので、全部で6〜7つの段階に分けて完成させました。まずは同系色を使用した単色系の作品にチャレンジして、慣れてきたら多色(たくさんの種類の色)を使った作品に取り掛かるのも、やりがいがありますよ!

まとめ

今回のブログでは、段階分けによる水彩技法的な絵付けのプロセスをご紹介しました。ぺったりと塗るタイプの絵付けも楽しいですが、色を微妙に塗り分けていき絵を完成させる技法は、また別の達成感を味わえます(^^)

段階を踏んで1つの絵を完成させるプロセスは、色の種類が増えても変わりません。絵の具の濃淡を活用し、奥行きのある絵付けにもトライしてみませんか?

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

※「余談」で書いたスペインタイルのメニューボード制作裏話は、こちらに連載してあります。少し長くなりますが、読んでもらえると嬉しいです(^^)

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