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気負わず楽しむ、陶器絵付けの教室です。
2022-06-13

【絵付けテクニック】筒状の陶器にバランスよく絵付けする方法(前編)

「普段使いの陶器絵付け・スタジオアートピース」の山岡ルイです(^^)

pebeoポーセレン150を使った陶器絵付けに役立つ情報をお伝えしています。

絵付けをする陶器には、様々な形があります。お皿やタイルのように平面のものもあれば、カップや花瓶など、立体のものもありますよね。立体かつ、カップのように筒状になっている陶器は、平面の陶器に比べ絵付けの難易度が上がります。

筒状の陶器に絵付けするときには「絵柄のバランス」や「絵の具の扱い(垂れ対策)」などがポイントになるのですが、今回は「絵柄のバランス」の取り方について、前編・後編に分けて解説したいと思います(^^)

前編は、陶器の円周をくるっと囲むライン模様がテーマです。

ライン模様の絵柄と、ワンポイント・ランダムな絵柄

まず、ライン模様とは次のような絵柄です。陶器のカーブに沿って、デザインを帯状につなげています。

そして、ワンポイント・ランダムな絵柄とは次の写真のように、モチーフがバラバラに配置されているものですね(^^)

「前編」では、ライン模様を絵付けする時のコツについてお伝えしていきます!

ライン模様を絵付けするときに気をつけること

筒状の陶器に絵付けする際、ネックになるのは「全体像を見渡せない」ことです。お皿など平面の陶器の場合は、常に絵全体を見ることができますから、絵のバランスが崩れてきたかな?と感じれば、絵付けしながら微調整していくことができます。逆に、筒状の陶器はどこかに必ず目視できない部分ができますから、絵のズレ等を意識的に確認しないと、完成した時にバランスの悪い仕上がりになってしまいます。

デザインが帯状に連なったライン模様の場合、気をつけたいのは次の2点です。

①絵柄のスタート地点とゴール地点の接続部分

②陶器の上部(または下部)からの間隔

この2つを意識すると、絵付けのクオリティがアップしますよ(^^)

①絵柄のスタート地点とゴール地点の接続部分

ライン模様の場合、絵柄のスタート地点とゴール地点、つまり絵付けの始まりと終わりは、継ぎ目が分からないよう違和感なく接続している必要があります。ライン状のデザインを絵付けしていると、知らず知らず模様の上下の位置がずれて、最終的にスタートとゴールで絵柄が噛み合わなくなることがあるんです。

こうした継ぎ目の違和感がないように工夫するor目立たなくするのが大切です。

②陶器の上部(または下部)からの間隔

これは絵付けの癖が影響する部分なのですが、フリーハンドで絵付けしていると、どうしても陶器の上部(または下部)と絵柄との間隔が広くなったり、狭くなったりします。ある程度の誤差はフリーハンドの良さとして受け入れていけばいいですが、あまりにチグハグになると、全体のバランスが悪く見えてしまうのです(;;)

ある程度の誤差は認めつつも、なるべく上下の位置のバランスを揃えていきましょう(^^)

絵柄のスタート地点とゴール地点の継ぎ目をきれいに仕上げるコツ

ここからは具体的な方法について説明していきますね。まず、絵付けの始まりと終わりの接続部分をきれいにつなぐ方法ですが、絵付けの始まり(&終わり)を、目立たない位置に設定するのがコツです。

カップであれば陶器の取っ手付近がいいですね。

こういった場所は、あまり目立たない部分なので、絵付けの始まりと終わりを接続する時に帳尻を合わせやすいんです(^^)絵付けを始めてグルッと回ってゴール地点に到着しそうな時、絵柄の上下がずれていればゴールに向かって絵柄の方向を上方向(or下方向)に修正していくことで、継ぎ目部分でぴったり合わせることができます。

上の写真のように、絵付けのゴールが近づいたとき、絵の位置がスタート地点より上方にズレていると感じたら、最後の数センチを下方寄り(青い矢印の方向)に描くことで帳尻を合わせます。

逆に、ゴール地点がスタート地点より下方にズレていると感じたら、上方寄り(赤い矢印の方向)に絵付けすることで、違和感なく絵付けを終了させることができるのです(^^)

ちなみに、取っ手などがついていない場合はどこを始まり(&終わり)にしても同じです。

ちょっとしたごまかしが効かないので(笑)、次に説明する上下間隔を意識して絵付けしてみてください(^^)

陶器の上部(または下部)からの間隔を一定にするコツ

フリーハンドで絵付けする以上、陶器の上部(または下部)から絵柄までの距離・間隔が多少ズレてしまうのは仕方ないことではあります。例えば次の陶器(愛用の砥部焼カップ♪)のように、上下間隔が揃ったきれいな線を描くには「絵柄をプリントする」「熟練の職人技で、ろくろで回しながら描く」など、ちょっとすぐには真似しづらい技術が必要です(^^;)

私たちはあくまで手書きの良さを活かして絵付けすればOK!なのですが、上下の間隔に多少の誤差は認めても、なるべくキレイに・バランスよく仕上げたいですよね。

そこで「絵柄の位置を、陶器の上部(または下部)から◯cmのところにする」といった間隔も、先に決めて、絵柄の下書きとは別に目印をつけておくと絵付けしやすくなります(黒い点々が目印です)。

手の感覚だけを頼りにすると、絵柄の下書き(転写)の時点で上下の間隔が狂ってしまうことがあります。下書きのズレは本番のズレにつながるので(ズレに気付いて修正できる場合はOK)、下書きのズレはなるべく避けたいものです。そのため、基準となる目印を打つことで、下書きしながらズレを感知して、修正することができるんですね(^^)

まず定規をあててから…

カーボン紙を挟んで基準になるところ(例えば上部から1.5cm、など)に基準点を転写します。

コツとしては、基準の目印を多めに打つことです。陶器の上部1.5cmのところに絵付けすると決めたら、定規とカーボン紙を使って、多めの基準点を転写しておきましょう。

基準点を打ったあとは、絵柄のほうの線を転写していきます。絵柄を転写するのは、基準点直下です。

このとき、基準点と絵柄が大きくズレていないか定期的に確認していけば、本番で絵柄の上下間隔がズレていくのを防げます。

調整しやすいライン模様の種類

最後に、描きやすいライン模様と、描きにくいライン模様について説明させてください。フリーハンドで絵付けするライン模様は、次の写真のように不規則な模様が並んでいるデザインが描きやすいです。

点や線などが不規則に並んでいます。一見難しそうに見えますが、「ライン上部にバランスが偏っていたらライン下部に点を増やす」「模様全体で強弱の差が出ていたら、弱い部分に模様を書き足してバランスを取る」など、後々修正が効きやすい自由度が高いデザインなんです(^^)

逆に、先ほど紹介したような綺麗な一本線などは、修正が効かない難しいデザインです。

フリーハンドで挑戦するにはたくさんの訓練が必要なので、絵付け初期にチャレンジするのは避けた方が無難と言えます。

まとめ

連続した模様が整然と並ぶ陶器は、見応えがありますよね。こうしたライン模様を絵付けするときは、

①絵柄のスタート地点とゴール地点がきれいに接続するように絵付けする&取っ手等があれば、その部分をスタート&ゴール地点にする

②陶器の上部(または下部)からの間隔が一定になるよう、基準点を多めに打つ

ことが大切です。また、

③絵付けしやすいデザイン・模様にする

のもおすすめです(^^)平面の絵付けに慣れてきたら、ぜひこうした立体&筒状の絵付けにチャレンジしてみてくださいね!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

後編では、ワンポイント柄をバランス良く絵付けするコツをご紹介しています!

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